SEL JAPAN 豊橋ラボで「カテゴリーM」の主任をしている渕田はごきげんだった。発注しておいた装置が、届いたのだ。
「カテゴリーM」は対象者に苦痛を与えて、快楽を引き出す事を目的としているが、当然、対象者を死なせてしまうわけにはいかない。そのために考案された装置だった。

まず、千佳子の身体がスキャンされ、安全深度が計測された。内臓、重要な血管を傷つけない深さが、身体の各部において記録される。
血液は、人工心肺につながれた血管から必要なだけ輸血される。これで千佳子を、いくら切り刻もうが、傷では死なない。

操作画面上には千佳子のからだと何の変哲もない矢印が表示されている。渕田は、無造作にマウスを動かした。矢印が、千佳子の身体の上をなぞる。

それと全く同じ軌跡をメスがたどった。円筒状の容器に閉じ込められた千佳子の身体にメスが進入し、ふとももの外側が、骨に達するほどに切り裂かれた。

千佳子のからだが弾かれたようにのけぞった。
身体をよじったため、広げられた傷がぱっくりと口をあけ、そのすき間を赤い液体が満たし、あふれ出した。

絶叫を聞いて渕田は満足した。この装置はできがいい。
千佳子のからだに落書きをするようにマウスを動かす。

そのたびに絶叫が響き、千佳子のからだは赤いドレスをまとったようになった。

円筒の底のほうに千佳子の血がたまっていく。
軌跡の交差した点から切り落とされた肉が落ちてときおり 「バシャッ」 と、しぶきをあげた。

気分が高まってきた渕田は対象個所を千佳子の女性の部分に集中した。
乳房を、ざくざくと切り裂く。メスは自動的に肋骨直前まで進入し、千佳子の乳房が、小間切れにされていく。

次は女性器部分だ。

しかし、膀胱や、子宮は内臓とみなされてそこまでメスが進入しない。
いらだった渕田は、執拗に何度も何度も千佳子の性器をを切り裂いた。
千佳子の股間に肉がなくなるほどになってから渕田は実験をやめた。

千佳子は、いつしか悲鳴を上げなくなり、気のせいか恍惚とした表情さえ浮かべているようだった。性エネルギー発生機関は、これまでの最高出力値を示していた。

渕田はシステムの変更を言い渡した。
膀胱とか子宮とか膣とか、直接生命に関らない器官は切り裂けるようにと。

千佳子のずたずたにされた身体は、もう横たわることもできなかったが、細胞を賦活する液体に浸されて順調に回復していた。

もうすぐ、普通の生活に戻れるだろう。
そう、毎日毎日、身体を切り裂かれる 「いつもの」 生活に。