私の体の中には今、有刺鉄線が通っています。
前の桜さんの時のように太い針で貫かれた後に、針と糸で縫うように有刺鉄線を体の中にとおされたんです。
今回は、私の首には脳を守るための装置は付いていません。
こうして、体の中を棘で引き裂かれ、内臓が削られれば、いずれ私は死んでしまいます。
度重なる実験のうちに私はどんなことをされても治してもらえるから平気という安心感のために緊張による興奮を失ってきているそうです。
今回、私は責めを受けて、身体を損なわれ、心臓が止まってから蘇生措置をうけることになっています。
手違いがあれば私は死んでしまうのです。その緊張感と不安感が私を興奮させます。

体の中を通った針金は鋭い痛みをおなかの中に生じさせます。
針金は私の女性器から、肉を引っかきながら、身体をずたずたに引き裂き身体のいろいろなところから出てきます。
喉を通って出てくる針金は、ずるずると私の喉、舌を引き裂きます。流れ出した血は、私の肺の中に流れ込み呼吸を困難にさせます。
咳き込めば、針が喉を傷つけます。息はどんどんできなくなっていきます。
身体の外側についた傷はこれまでの実験に比べればずっと少ないです。
でも、息ができないことが、命の安全が保障されていないことが、私は死ぬかもしれないということを実感させ、私の中心を濡らすのです。

私の息は、小さな音にかわっていき、目もよく見えなくなってきました。
心臓の音は大きく感じられます。

すべての感覚がなくなるようなめまいの後で私は意識を失いました。
あれが、生きていることを失うことの感じなのでしょうか。

死ぬということを経験する。
ただ一度、この身に残された最高にして最後の快楽。
もうすぐ私はその欲求に逆らえなくなる。