ひとが死ぬ時ってどんなふうになるのでしょう。
死んでしまったひとに感想を聞くことは出来ないので本当にはわからないですよね。
多分、苦しくて、痛くて、さみしくて、何故って、どうしてこんな事にって思うんでしょう。
ううん。そんなこと考える暇もないかな。

私は今首を吊らされています。

首吊りの過程を観察されているんです。
どんなふうにもがくか、何分ぐらいで意識を失ってしまうのか。
たぶん、こんなデータは、過去の残酷な時代にたくさん取られていたのでしょうから、実際にその目で見てみたいって言う以外に意味はないと思うんですが、観察と実際に自分が首を吊るのは全く違います。

自分の体重が容赦なく首を絞めてきます。「許して」「助けて」って言う相手もいません。でも、

「なかなか死なないね。」
「おしっこ漏らした、汚いなあ。」
「もうそろそろかな。」

なんて言う言葉を聞きながら意識が薄れていくと、下半身に入れられているバイブレーターの振動だけが全てになってきて、絶頂のまま意識を失ってしまったんです。

周りの人が居なければ、私はそのまま死んでしまっていたでしょう。
絶頂のことを「小さな死」って言うみたいですが、死は私たちにとって「大きな絶頂」なのかもしれません。

もちろん、誰にでもある一度だけの体験を急ぐ必要があるとは思わないですけれど。