クラスメートの牧さんは、魚っぽい。

牧さんのお母さんは人魚なんだそうだ。

僕の父さんと牧さんのお父さんは親友だとかで、いろいろな事情を知っている父さんは、
僕にも牧さんちの事情に協力的であれという。

そんなわけで、僕は牧さんのヒミツを知っている。

牧さんの身体は人間の女の子とつくりが違う。
水の中ではエラがあったりして元気だけれど、普段は激しい運動は苦手だ。

今日もずっと具合が悪そうにしていたので、授業が終わったあと牧さんの家まで連れていって、
水槽の中に入れてあげなくちゃならなかった。
水槽の中で、牧さんは服を脱いでしばらくくつろいでいたようだ。
(恐るべきことに、この少女は僕に対して裸を見せることを恥ずかしがらないのだ。)

が、しばらくして、小さなキラキラ光る粒が牧さんから溢れ出した。

「排卵日だったみたい。」

牧さんはあっけらかんとそう言い放った。
僕は思った。

『イクラ丼食べたいな。』

人魚との性生活はあまりに淡白であるという。
僕がもし、牧さんを好きになって結婚したりしたら。
「排卵日」に水槽の中で自分でヤんなくちゃならないんだろうか。

牧さんはかわいい。

僕は、牧さんのお父さんに、じっくり話を聞いてみたい。
「なんか、お皿みたいのある?」
牧さんは言った。
例のごとく始まってしまったみたいだ。
人間と変わらない牧さんの下半身からプリプリとオレンジ色の卵がこぼれ落ちる。

「おまえなー、そんな簡単にパンツ脱ぐなよ。」
ちょっと目のやり場に困って言うが、牧さんは不思議そうな顔をするだけだ。

「タマゴ、一ヶ月に一度でるのいつものことだし。
そりゃあ、あたしだってその辺じゃ出したりしないよ。タマゴ産んだって食べられ
ちやうだけだし。ちゃんと子供にしてくれる人の近くじゃなくちゃ。」

・・・僕はそういう風に見られていたのか?
もうすでに候補とかじゃなくて決定してたのか!?

まあ、人間だって男なら一度に何億とか言う単位で出してるだろうから、
マンボウなみに受精させたりできるだろうが。
家庭内で育てることはムリだ。

荒波に放流したとしていつか子供が、
「お父さん、僕、六百二十八万五千十八郎です。」とか言って戻ってくるのか?

命を落としていった兄弟のことを延々聞かされなくちゃいけないのか?

牧さんのお父さん。 あんたはスゴイ人だ…。
あーそうだね。
めんどくさいねー
しっぱいしたねー
「マラソン苦手なのよねー。」
牧さんは言った。
まあそれはそうだ。牧さんの呼吸器系は半分が水中用になっている。
持久力を必要とする運動をすると酸素の取り込み能力が足りなくなってしまう。

「ちょっとだけ身体軽くしとくわ。」

するっとパンツを脱いだ牧さんは机の上にタマゴを生み始めた。

「おいおい、こんなところにタマゴ生んでどうするんだよ。」
「ごめんねー、片づけといて。」

牧さんは胎内のタマゴをあらかた排出するとマラソンを走りに出て行った。

後に残されたのは僕と牧さんのタマゴ。

・・・女の子って偶然とかで好きな男の精液とか手に入れたらどうするのかな?
素朴な疑問が浮かんだけど、答えを知るのはコワイ感じがした。
「あなたがひーくん?」

その女の子は言った。
家に帰ると、家族が誰もいなくて知らない女の子が出迎えてくれたのだ。

「心が広いって素敵。あなた、おさかなっぽい女の子も大丈夫なヒトなんでしょ?」

この人、牧さんのこと知ってるのか!?

「わたしもそうなのン でも、あの子よりわたしの方が高級なのよ

彼女はキッチンのテーブルの上に腰掛けると、短いスカートの中から
するっとパンツを抜き出し、スプーンをあそこの中に差し込んだ。

「ん」 なんて色っぽい声を出して抜き出したスプーンには山盛りの黒い粒が。

「食べ比べてみて」

僕はくらくらしてきた。
これはアレだ、「類友」ってやつだ。

「何してんのよ、このとんぶり女!」

彼女は牧さんのいとこで、やっぱり人魚とのハーフなんだそうだ。
初めて知ったけど、人魚の魚の部分にも色々あって、牧さんはシャケ系で
彼女はチョウザメ系らしい。どちらも淡水、海水オッケィだし、近いのかも。

「私たちのなかま、絶滅の危機なの

彼女は積極的だ。牧さん以上に。
つーか、牧さんのお父さん、兄弟してかよ。
牧さんの一族にそういう傾向があったとして、そのツケをこっちにまわしてほしく・・・
ないと言い切れない僕はダメだ・・・
牧さんの話によると、つい仲間内?ではあそこの事を
「産卵孔」とかいってしまうんだそうだ。
まあ、おさかなではそういった目的がメインだから
仕方ないのかもしれないけど。

そういったノリの話で出てきた話で初めて知ったのだが、
いつも牛乳ばっかり飲んでるクラスメートの堀さんは
トリ系のハーフなんだとか。

初潮以降、頻繁にカルシウムとかタンパク質とか
体外に出してしまうようになったので、発育がイマイチで
本人も悩んでいるんだそうだ。

髪の毛、脱色してるのかと思ってたけど、実は
白色レグホンなんだったりして。(^_^;

まあ、闘争本能過多の女子なのでとりあえずは遠くから
妄想のみしておこうかと思う。

そんな感じのハーフっていっぱいいるのかなあ。

クラスメートの牧さんのいとこの牧さんは(蝶子さんというらしいが)、過激だ。

自分の成熟卵を取り出して塩漬けにして、キャビアにしたらしい。
うちの冷蔵庫に1kgぐらい入っていた。

証拠写真が添付されていて、それがかなり衝撃的で固まっていると
「私の成熟卵でキャビアつくったの。食べてね。」
とお腹を裂いた本人が現れた。

「サカナモードになるとあんまり痛くないのよ
横に切ったからビキニも着れるわ。」

と、アピールされた。

絶滅危惧種はもっとタマゴを大切にしろよ、と言いたかったが、
なんか蝶子さんはドエロくて言いあぐねてしまった。

もうどっちに転んでも生活習慣病まっしぐらな感じなので
ニシン少女とかタラ少女とかも出てきていいくらいの今日この頃だ。